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2017年6月14日 (水)

九州新幹線長崎ルートフル規格化のために

九州新幹線長崎ルートは軌間可変電車の導入を断念する方向になったことで,事実上全線フル規格化するしかなくなったと考えられる,ということは前回述べた.

全線フル規格化は技術的には全く問題なく,時間短縮効果も大きく,広島・岡山・新大阪へ乗り入れ可能だし,中央新幹線の全線開業後は京都・名古屋方面へも乗り入れができる可能性があり,全線フル規格化は理想的な方法に見える.

博多⇔長崎には特急が1時間に2本走っており, フル規格新幹線を整備するだけの十分な需要がある.仮に軌間可変電車が実用化したとしても軌間可変電車の投入ではなくフル規格新幹線を整備するのが望ましい.

しかし,全線フル規格化には佐賀県の負担金などの問題がある.しかし,何らかの方法で佐賀県の負担を軽減して,説得しなければ,武雄温泉での乗り換えがずっと続いてしまう恐れがある.受益の大きい長崎県が一部を肩代わりするしかないだろう.あとは,場合によってはJR九州が負担することも考えられる.佐賀県や長崎県で負担割合等の新たな合意が必要になってくる.

新鳥栖-武雄温泉をフル規格で建設した場合,途中駅は佐賀駅のみであり,佐賀駅に関しては長崎県に肩代わりさせるわけにはいかず,佐賀県と佐賀市が負担するしかない.佐賀駅での新幹線の折り返しは基本的にないだろうから,北陸新幹線福井駅のように島式ホーム1面2線でいい.そうすれば,コストを削減できる.県庁所在地の中心駅である佐賀駅は新幹線も全列車が停車すると考えられるから,佐賀県や佐賀市にとっても大きなメリットがある.

その他の区間の線路は受益の大きい長崎県が一部肩代わりすることが考えられる. 長崎県内の区間も2017~2020年くらいが建設のピークで肩代わりするにしても長崎県もそこまでの余裕がない.2022年開業ということは2021年にはピークも過ぎ,試運転に入る段階だから余裕が出てくる.

佐賀駅からは博多駅まで在来線特急で約40分であり佐賀県にとっては新幹線は不要と思うのかもしれない.その考えも全く理解できないとは言えないし,佐賀が終点なら絶対に整備されない路線ともいえるからだ.佐賀が目的というよりは「長崎へ伸ばすために結果として佐賀を通る」といった面も少なくない.なので,ある程度長崎県が負担を肩代わりするのはやむをえないといえる.

しかし,佐賀にとっても,メリットがないとはいえない.

「佐賀駅からは博多駅まで在来線特急で約40分であり不要」というのは目先の利益にとらわれているといえる.広島,岡山,新大阪方面への直通が可能になるという考えも必要だ.山陽新幹線の広島・岡山・新大阪などと佐賀駅が直結されたら,佐賀県にとっても,非常に大きなメリットがある.

次に,新鳥栖-武雄温泉において並行在来線問題も生じる可能性がある.

とは言っても,新鳥栖-佐賀は福岡近郊のような感じでそれなりに需要も多く,佐賀-博多間に快速を運転することも可能だろうからJR九州のまま存続だと思われる.佐賀-武雄温泉も肥前鹿島方面へのアクセスの確保などを考えれば安易に経営分離はできない.肥前鹿島-諫早も並行在来線でもめた挙句JRのまま存続になったから,ここでも結局分離はされないと思うし,並行在来線を分離しないことを条件に,佐賀県にも一部負担増に応じてもらうとするのもありだと思う.とはいえ,佐賀県の負担軽減は特例とするのではなく,今後の新幹線建設のためにも通過距離だけでなく受益に応じた地元負担とするルールに変更するのが望ましい.

とはいえ,佐賀県が場合によっては少しは負担増に応じるのか,1円の負担増にも応じないのかということによって状況は変わってくる.

(i)佐賀県が少しは負担増に応じる場合   
計画通り,佐賀駅に併設し,佐賀駅には全列車とする

ただしコスト削減のために佐賀駅の新幹線ホームは島式ホーム1面2線とする

佐賀県の負担増分は佐賀駅とその前後の区間とし,その他は長崎県とJR九州で肩代わり

(ii)佐賀県が一切負担増に応じない場合
軟弱地盤ではない長崎自動車道沿いに作り,コスト削減(ただし,この場合環境アセスメントをやり直す必要があるため着工まで時間がかかる)

佐賀県の負担金は長崎県とJR九州で肩代わり

佐賀大和IC付近に追い越し可能な新佐賀駅を作り(相対式ホーム2面2線+通過線),最速は新佐賀駅も通過し,博多-長崎ノンストップ(長崎への時間短縮効果は大きくなるため,肩代わりの理由が大きくなる)

また,「かもめ」の停車駅でありながらフル規格新幹線では駅が設置されない肥前山口をどうするかという問題もある.だが,肥前鹿島⇔博多に特急を一部存続することで地元が合意しており,それは肥前山口にも停車するだろうから,肥前山口駅の需要的にはそれでも十分といえると思う.また,この列車も特急ではなく快速にすれば特急料金が不要になるので,気軽に乗れるようになり,あまり長い区間を走るのではないからむしろこの方が望ましいといえると思っている.快速は博多-佐賀を1~2往復/時,博多-肥前鹿島を1往復/時とするのがいいと思う.快速の停車駅は博多,南福岡,大野城,二日市,原田,基山,鳥栖,新鳥栖,吉野ヶ里公園,神埼,佐賀,肥前山口,肥前鹿島とすればいいと思う.もちろん、快速は博多での折り返しにこだわる必要はなく小倉方面に直通してもいい.

また,もう1つ,佐世保方面の特急「みどり」をどうするかという問題もある.普通に考えると,武雄温泉⇔佐世保で新幹線リレー快速を走らせることとなる.しかし,これでは利便性は低下する.かといって,博多⇔佐世保で「みどり」を存続すると,新幹線と競合してしまい,新幹線の収益も悪化してしまう.武雄温泉-佐世保間をミニ新幹線にするのも1つの手だと思う.武雄温泉-早岐は標準軌化,早岐-佐世保は大村線の列車も多く乗り入れるので3線軌条化するのがいいと思う.改軌工事でしばらく運休が必要になるが,新鳥栖-武雄温泉をミニ新幹線化するために運休するよりは影響が少ない.

こうすれば博多⇔武雄温泉で新幹線を走り「みどり」もスピードアップできる.また, 軌間可変電車が実用化された場合は「みどり」に軌間可変電車を投入するのが望ましい.長崎方面は需要も多くフル規格が望ましいので, 軌間可変電車は長崎方面ではなく佐世保方面に投入するのがいいと思う.
以上のように,九州新幹線長崎ルートは佐賀や長崎それぞれのことだけを考えるのではなく,西九州全体のためという視点を持って建設されるべきだと思う.

九州新幹線長崎ルート,軌間可変電車断念へ

九州新幹線長崎ルートは新鳥栖-武雄温泉の区間は建設せず,軌間可変電車で在来線に乗り入れる計画だった.しかし,2014年ころから軌間可変電車の開発は暗礁に乗り上げている.それ以前から,自分も含め,軌間可変電車に懐疑的な見方をしている人は,かなり多い.

ここにきて,JR九州が長崎ルートへの導入断念の方針を固めたという.事業者が拒否する計画は実行できないから,長崎ルートへの軌間可変電車の導入はなくなったといえる.

軌間可変電車には技術的な問題が多いようだ.安全性への懸念があるほか,仮に実用化できたとしても,保守コストがかなりかかるようである.

軌間を変換できるということは,逆にいえば,走行中に車輪の軌間が狂って,脱線してしまうということになってしまうかもしれない.こういった懸念を持っている方も少なくないと思われる.

仮に実用化できたとしても,速度などの問題から山陽新幹線への乗り入れはJR西日本に拒否されているから,広島・岡山・新大阪方面への直通はできず,博多-長崎の運行だけになり,現在の特急「かもめ」を置き換えるだけとなってしまい,新幹線の効果としても小さいものになってしまい,在来線特急のままでいいということになってしまう.

武雄温泉-長崎が開業した時には武雄温泉駅でホーム上乗り換えができるようにする,いわゆる,リレー方式になる予定だ.しかし,これは軌間可変電車の開発が遅れていることによる暫定措置である.しかし,軌間可変電車を断念となると,このままでは,永久に武雄温泉での乗り換えになってしまう.しかし,いつまでもリレー方式にするわけにはいかず,何らかの対策が必要になってくる.

まずは,スーパー特急方式が考えられる.スーパー特急の場合,フル規格で建設中の武雄温泉-長崎を狭軌に変更し,博多-武雄温泉は現在と同じように在来線を走ることになるだろう.これなら,博多-長崎を直通できるものの,軌間可変電車の場合と同じで,広島・岡山・新大阪方面への乗り入れはできない.スーパー特急方式にしても,在来線特急のままでいいということになってしまう.スーパー特急方式でメリットがあるのは,現在は鉄道空白地帯ながら,新幹線駅設置予定の嬉野温泉駅とその周辺のみだろう.また,一度フル規格とした武雄温泉-長崎を,スーパー特急に“格下げ”することになれば地元としても到底受け入れられないということになる.

次に,ミニ新幹線化ということが考えられる.これは山形や秋田で利用されている方法である.この場合,技術上の問題は少なく,広島・岡山・新大阪方面への乗り入れもできる可能性がある.しかし,在来線の改軌工事で在来線をしばらく運休にせざるを得ないということになり,その間は当然ながら在来線特急も運航ないうえに,鉄道における代替ルートも事実上ない.筑肥線・唐津線経由などでつながっていると言えばつながっているのだが,これでは非常に遠回りで,実用的ではない.

ということになれば,残された手段は全線フル規格化しかない.この場合は技術的には全く問題なく,時間短縮効果も大きく,広島・岡山・新大阪へ乗り入れ可能だし,中央新幹線の全線開業後は京都・名古屋方面へも乗り入れができる可能性がある.全線フル規格化は理想的な方法に見えるが,これにも,佐賀県の新幹線建設費の負担金の問題がある.しかし,事実上,全線フル規格化以外の方法がないといえる.受益の大きい長崎県が一部を肩代わりするなど,佐賀県の負担を軽減するなどして,なんとか佐賀県を説得するしかない.また,全線フル規格化した場合,博多-佐世保間の特急「みどり」をどうするかという問題もある.

2017年3月31日 (金)

北陸新幹線のルート確定

北陸新幹線の敦賀-新大阪間について,敦賀-京都は小浜京都ルートで201612月に決定していた.小浜市の駅は東小浜駅に併設が想定されている.そして,20173月には京都-新大阪も修正された南回りの松井山手駅経由で決定した.なので,敦賀-東小浜-京都-松井山手-新大阪というルートで,確定である.以前は所要時間や採算面で優位な北回りが有力と見られていたが,南回りもルートが修正されて北回りと遜色のないルートとなったことで,京都-新大阪間で途中駅が設置されて,より経済効果の見込まれる南回りとなった.以前は,北回りが望ましいと考えていたが,松井山手経由に修正された南回りなら,むしろ北回りよりも評価できると考えている.ただ,以前は北回りで,京都市内は東西に貫くことになるのではないかと予想したが,南回りになると,京都市内を南北に貫くことになる.ただ,国土交通省の試算資料に含まれていたルートイメージを見る限りは,北回り,南回りいずれにしても南北に貫くことを想定しているとみられる.資料には"各ルートの線はイメージであり、実際の位置を表すものではない"ということが書かれているが,それでも実際のルートを水面下では,ほぼ固めていると考えられるので,ルートイメージ図から大きく外れることはないだろう.今後は1年程度で具体的なルートを確定することになるようだが,実際のルートをほぼ固めていなければ,1年では不可能だろうし,事業費や所要時間をこれほど細かく試算できないだろう.実際のルートも地形図や衛星写真等でほぼ固めている可能性は極めて高く,測量によって,どうしても変更が必要なところだけ変更するということになると思われる. また,南回りになったことで,新大阪駅のホームも南北ではなく東西方向となる可能性が高まったと思う.こうなったら,関西空港への延伸は難しいが,なにわ筋線の建設で代替できる部分が大半であり,それに関西空港延伸は基本計画外であるから必ずしも考慮は必要ない.京都駅や新大阪駅について予想する記事を以前に書いたが,あれは北回り前提だったので,実際には大きく異なることになるだろうから,改めて予想をやり直し,いずれ当たりしい記事を書く予定である.

また,なぜ南回りの修正案が検討されたかということだ.当初の南回り案では5kmほど奈良県を通るので,奈良県にも負担金が発生するが,奈良県内に駅は設置されないので奈良県に反対された.ただ,奈良県が反対した理由はそれだけではないと思う.精華町あたりに駅を設置した場合,"奈良市付近"と解釈できる.一方,中央新幹線は"奈良市付近"に駅が設置されることになっているので通常は奈良県内に設置される.しかし京都府の精華町に北陸新幹線の駅が設置された場合,そこを中央新幹線との接続駅にしようということになり,"奈良市付近"の駅を京都府に取られてしまうという懸念がある.一方で,京田辺経由は奈良県も歓迎していた.これは,負担金が発生しないだけでなく,京田辺や松井山手を"奈良市付近"と解釈するには無理があるため,中央新幹線の駅は奈良市か"奈良市付近"の奈良県内に設置されることになり,京都府に中央新幹線の駅を取られてしまうということにはなりえない.それに,奈良から北陸は近鉄かJRで京都駅に行けばいい.

次に,通過距離が長く負担額の大きい京都府に対する配慮があったとも言われている.京都府内の通過距離は長く,京都市内の地下工事も考えれば,かなりの負担額になるが,北回りでは京都駅しか設置されないため,京都府にとって受益<負担となる懸念があった.そのため,できれば京都駅以外にも1駅京都府内に設置するという考えだ.

さらに当初の南回りのB/C0.93だったということだ.これがもし舞鶴ルートのように0.60.7であればどう考えても無理だが,0.93あればもう少しで1である.つまりルート変更などの工夫によっては1を超えるかもしれないと考えられたのかもしれない.

さて,試算について細かく見ていきたい.

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修正された南回りはまず,京田辺市中心部の京田辺駅・新田辺駅を経由する案が検討された.しかし,市街地を多く通るため費用がかさみ当初の南回りより事業費等が少し減っただけであり,B/Cも改善したが0.971には届かなかった.そこで,さらにJR学研都市線の松井山手駅経由に修正された.こちらはあまり遠回りにはならず,所要時間や事業費,採算面で北回りと遜色のないルートとなった.B/C1.05であり,北回りよりもわずかに劣る.しかし,途中駅設置による経済効果,学研都市線やけいはんな学研都市の開発効果などを考えれば.将来的には北回りよりも大きな効果を生み出す可能性が高い.さらに,京都駅や新大阪駅へのアクセスが不便な学研都市線沿線のアクセス改善も期待される.松井山手からは京都へのバスはあるものの,鉄道アクセスは不便である.また,新大阪へのアクセスもかなり不便である.北回りでは京都-新大阪のみの区間利用はまず見込めないが,南回りなら新大阪-松井山手や松井山手-京都といった区間利用も見込める.北回りなら,北陸から京都に到着した列車は,乗客が京都でかなり降り,そのままの状態で新大阪まで走るため京都-新大阪ではかなり空いてしまう.しかし,南回りだとそれだけでなく,新大阪-松井山手や松井山手-京都といった客も加わるから,結果的には乗客も増えると思われる.つまり,松井山手-京都といった通勤通学需要も取り込めるし,その他の日常利用もある.また,東海道新幹線・山陽新幹線にアクセスするために新大阪-松井山手や松井山手-京都の区間で北陸新幹線を利用するということも考えられる.これが,精華町や京田辺市中心部経由ならJRか近鉄で京都駅へ行けばいいだけであり,新駅の効果は非常に薄いものになるだろうし,北回りの方がいいということにもなると考えられる.そういったこともあって,当初の南回りや京田辺中心部経由の南回りはあまり評価できなかった.京都や新大阪にアクセスが不便な松井山手に駅を設置するからこそ,わざわざ南回りにする意味がある.その上,所要時間や事業費,採算面で北回りと遜色のないのだから,松井山手経由に修正された南回りなら北回り以上に評価できるといえるだろう.ルート議論においては "北陸と新大阪が乗り換えなし","整備計画通り小浜市を通る"というのが前提になるから,東海道新幹線への乗り入れが不可能である以上,湖西ルートや米原ルートは不可能なので,若狭ルート(小浜-亀岡-新大阪)にするしかない状況だった.しかし,これでは京都駅を経由しないという問題があった.だから,小浜京都ルートが提案されたことで大きく話が進んだといえる.また,新幹線をの整備には地元自治体による"我田引鉄"がつきものであり,今回も沿線自治体による"我田引鉄"が繰り広げられた.しかし,これだけならば,何とか落とし所を見つけて最終的には妥協するだろう.我田引鉄だけでなく,東海道新幹線への乗り入れの可否,JR東海とJR西日本の意向などが複雑に絡み合ったためこれだけ議論が難航したといえる.最終的に決まった"敦賀-東小浜-京都-松井山手-新大阪"ルートであれば"北陸と新大阪が乗り換えなし","整備計画通り小浜市を通る","京都を通る","露骨な大回りはしない"といったことがすべて満たされている.

いずれにせよ,長年の懸案であった北陸新幹線の敦賀-新大阪が決まってよかったと思う.

2017年1月11日 (水)

宮崎への新幹線ルート案

宮崎県内では東九州新幹線の現行案にとらわれず宮崎駅延伸のさまざまな案を検討すべきといった声があり,宮崎県庁でも鉄道に詳しい職員等でルート案が検討されたりしているようである.こういった新ルート案について検証したい.

そのルート案とは主に次の3つのようである

(1)鹿児島ルートから久留米で分岐し久留米-大分-宮崎

(2)鹿児島ルートから熊本で分岐し熊本-高千穂-延岡-宮崎

(3)鹿児島ルートから新八代で分岐し新八代-人吉-宮崎

概ね,以下の図のようになると思われる.(Google Mapの図を使用)

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では,まず(1)の案から検証したい. (1)は鹿児島ルートから久留米で分岐し久留米-大分-宮崎というルートである.しかし,これは東九州新幹線の博多-宮崎間を小倉分岐から久留米分岐にマイナーチェンジしただけだといえる.つまり大分までは久大本線沿線を通ることになるわけだが,日豊本線沿線よりもずっと需要は少ない.これでは小倉-大分間で博多,久留米経由という大きな遠回りをすることになる.さらに,大分-宮崎間は距離が長い上に需要も少ない.さらに,このルートでは本州方面からは小倉分岐に比べて大きく遠回りになり,関西⇔宮崎の競争力も大きく落ちてしまう.つまり,従来の小倉-大分-宮崎を需要が少なくしかも遠回りになるルートに変更しただけである.このルートでは需要が多い大分以北の乗客が大きく減少してしまい,結果として宮崎県内の乗客も減ってしまうから,東九州新幹線全体の採算も悪化してしまう.(1)ルートを建設するくらいなら普通に東九州新幹線の小倉-大分-宮崎を建設するほうがいい.よって,(1)は検討に値しないルートだと思われる.

次に,(2)の案を検証したい.(2)は鹿児島ルートから熊本で分岐し熊本-高千穂-延岡-宮崎というルートである.沿線人口も少なく,距離が長くなる上に,かなりの大回りである.博多からでも大回り,本州方面からは九州島内で小倉-博多-熊本-延岡-宮崎と「5」の字を描くようになり,非常に遠回りであり,地理的にも合理性が低い.よって,(2)も検討に値しないルートだと思われる.

次に,(3)の案を検証したい.(3)は鹿児島ルートから新八代で分岐して新八代-人吉-宮崎といったルートである.このルートは沿線人口こそそこまで多くないものの,博多から宮崎への最短ルートであり, 新八代-宮崎の高速バスルートにかなり近い.現在,陸路の博多⇔宮崎の移動ルートとして最短なのは,博多⇔新八代で新幹線に乗り,新八代でバスに乗り継ぐのが最短である.また, (1),(2)の案や小倉-大分-宮崎に比べて距離も短いので安く建設できる.もっともな話,ネット上や一部書籍などでも(3)のようなルートは時折,提案されているのを見かける.自分もこのルートは宮崎への延伸案としてはある程度評価している.これは九州新幹線の「鹿児島ルート」,「長崎ルート」に次ぐ「宮崎ルート」といった形だろうか.ただし,最大のネックは基本計画外であるということだ.次期整備計画は基本計画の一部が格上げされると見られるため,(3)のルートの実現は難しい.ただし,次期整備計画は基本計画以外も含めて考えるということになったとすれば,十分に検討に値するルートである.ただし,基本計画以外からもとなった場合,全国で無数の案が提示され収拾がつかなくなりそう...

新ルート案を提案するといった発想はすばらしいが,新ルートにこだわりすぎた結果,基本計画案の次期整備計画への昇格を逃してしまっては本末転倒である.基本計画にもない新線を提案するよりは,普通に東九州新幹線の小倉-大分-宮崎-鹿児島中央を次期整備計画に昇格させて整備するほうが王道であり,新幹線実現が近づくと思う.

 

2016年12月12日 (月)

残りの整備新幹線の着工時期と次の新幹線は?

 

整備新幹線の工事中の区間は北陸新幹線(金沢-敦賀),九州新幹線(武雄温泉-長崎),北海道新幹線(新函館北斗-札幌)3区間であり,北陸と九州は2023,北海道は2031年に開業が予定されている.現在は3路線とも本格的な工事中だが,北陸と九州は2020年頃,北海道も2028年頃には工事のピークは過ぎる.北陸新幹線敦賀以西の工事が2031年と国土交通省の試算で想定されたのは2031年には現在建設中の路線の工事が全て終わり,財源の面からしても確実に着工できるからである.しかし,これは最悪の場合の想定であり,実際の着工は2031年まで待たされる可能性は非常に低いと思われる.実際,様々なところで,もっとはやく着工可能であると考えている方は多いようである.当然,沿線自治体も早期着工を要望している.政治レベルでも,こんなに着工が遅くなると考えている人は少ないと見られる.

 

そして,個人的な推測では2021年~2022年頃,あるいはどんなに遅くとも2023年には着工されると考えている.理由は3つある.まず1つ目は,現在工事中の3路線のうち北海道以外は20212022年ころにはピークが過ぎて新幹線予算に余裕が出てくるので,その分を新規着工に回せる可能性が高い.2023年には北陸と九州が開業するのでこの分の予算は完全に空くから,どんなに遅くとも2023年には着工できるのである.2つ目の理由としては,具体的なルートと環境の調査の期間だ.2017年から具体的にルートおよび環境アセスメントの調査が始められることとなっている.それには34年程度かかると思われるので,その調査が終わるのが2020年頃になるのである.なので,こういったことからしても20212022年頃の着工になる可能性が高いと見ている.3つ目は,2020年東京五輪関連の公共事業を終わり,公共事業予算に少しではあっても余裕が出るためだ.また,九州新幹線長崎ルートがフル規格化される場合は新鳥栖-武雄温泉を,こちらも20212022年頃に着工されると思われる.

こういった区間が2022年頃には着工できるというのは次の表をご覧いただきたい.

(工事のピーク時期と見られるときはマスを全部,着工直後と完成寸前は工事のピークではないので全ては塗っていない)

01

 

いかがだろうか?こう見ると現在整備中の区間のうち北海道以外は2020年以降はピークを過ぎ少しづつ予算に余裕が出てくるので,そのタイミングで新規着工できる.また,その2区間が開業して新規着工区間に本格的に予算投入できるようになる20232024年ごろに新規着工区間も測量や用地取得が進み本格的工事にこぎつけられる段階に入ってくるので,その点でもちょうどいい.新規着工区間は新鳥栖-武雄温泉は通常の新幹線と同じ10,敦賀‐新大阪は国土交通省の想定どおり15年とした.ただし,これも前倒しを求める工事が強く,国としても前倒しを検討はするだろうから,1012年程度に短縮される可能性も十分にある.また北海道新幹線の札幌延伸ももう少し前倒しが望ましい.当初は23年の工期が想定されていたのだが5年前倒しされたものの,それでも18年であり,通常は10年が工期だから,やはり工期は長いといえる.北海道は自然環境などが厳しく,工事が難しい時期もあるから通常の10年にまで短縮は難しいかもしれないが,それでも15年以内には短縮が望ましい.ということは少なくともあと3年は前倒しが必要だと思う.そうなると2028年に開業となる.ただし,2026年の冬季五輪の招致に札幌が名乗りを上げていることもあり,もし招致に成功すれば北海道新幹線も予算を増やして,2026年に前倒しすることになるだろう.

以上のことを考えても,2020年代後半には整備新幹線の全区間完成にめどがつく.だが,整備新幹線が全線完成しても基本計画線等には建設を考えてもいいところが少なくない.

また,基本計画外でも北陸新幹線の関西空港延伸などは構想が提唱されており,それなりに議論されているあるいはされようとしているところも存在する.そういったことから2020年代後半には,「次期整備計画」の議論が必要になってくる.なので,基本計画新幹線および,それ以外でも提唱されている構想路線の中から「需要」「時間短縮効果」などの面から「次期整備計画」として必要な路線の選定を始めなければならない.「次期整備計画」なるものについては一部書籍や一部ウェブサイトで議論されているのを時折見かける.

まず基本計画新幹線は以下の11路線である

・東九州新幹線(福岡市-大分市-宮崎市-鹿児島市)

・九州横断新幹線(大分市-熊本市)

・山陰新幹線(大阪市-鳥取市-松江市-下関市)

・中国横断新幹線(岡山市-松江市)

・四国新幹線(大阪市-徳島市-高松市-松山市-大分市)

・四国横断新幹線(岡山市-高知市)

・北陸中京新幹線(敦賀市-名古屋市)

・奥羽新幹線(福島市-山形市-秋田市)

・羽越新幹線(富山市-新潟市-秋田市-青森市)

・北海道新幹線(札幌市-旭川市)

・北海道南回り新幹線(長万部町-室蘭市-札幌市)

また,国鉄時代から考えられ,未完成だが計画が失効はしていない路線

・東北・上越・北陸新幹線の大宮-新宿

また,基本計画外でも構想が考えられている路線はいくつかある.

・北陸新幹線の関西空港延伸

・東海道新幹線の羽田空港乗り入れ

・上越新幹線の新潟空港延伸

・九州新幹線の熊本または新八代で分岐して宮崎に至る新幹線

といったあたりだろうか?

こういった基本計画路線や構想路線について個人的に検証した記事を今後,時折書きたいと考えている. 

 

 

 

北陸新幹線全通後,名古屋-北陸の利便性をどう確保するか?

北陸新幹線が金沢まで開業した今,東京⇔富山・金沢の利便性は大きく向上したが,逆に大阪・京都・名古屋⇔富山は金沢での乗換えが必要となり,利便性が低下してしまった.敦賀延伸後は東京⇔福井の利便性は向上するが,大阪・京都・名古屋⇔福井・金沢の利便性は低下してしまう.敦賀駅は乗換えが比較的楽な構造となることが想定され,金沢駅での乗り換えに比べて抵抗は少ないものの,乗換えが発生する分,利便性は低下してしまう.とはいえ,北陸新幹線が新大阪駅まで全通すれば大阪・京都⇔富山・金沢・福井に関しては利便性が再び確保されるようになる.在来線の現在よりも新幹線によって速くなる分,今以上の利便性が最終的には確保されるようになるのは間違いない.

しかし,名古屋⇔北陸の利便性は低下したままである.もっともな話,名古屋⇔北陸の需要は関西⇔北陸の1/4以下なので,名古屋⇔北陸の需要は少ないといえば少ない.しかし,少ないとはいえ,ある程度の需要はあるので,切り捨てるのではなく,名古屋⇔福井・金沢・富山の利便性も確保したい.

単純に考えると,敦賀駅での乗り換えの確保を続ければいいのだが,乗換えが必要なことには変わりない.そこで,これを解決する方法をいくつか考えたい.

(1)ミニ新幹線

まず,北陸本線敦賀-米原をミニ新幹線化することになるだろう.この区間は在来線としての需要もそれなりにあるので,単純に標準軌化するわけにはいかず,3線軌条化する,あるいは,複線のうち単線分だけ標準軌化し,もう単線は狭軌のまま残し,標準軌と狭軌の単線並列にするかである. 単線並列のほうが改軌コストも保線コストも安いので望ましい.しかし,そこからは東海道本線か東海道新幹線に乗り入れることとなる.しかし,東海道新幹線乗り入れはシステム等の問題で不可能であるから, 東海道新幹線乗り入れはないといっても過言ではない.残されたのは東海道本線への乗り入れだが,需要の少ない米原-大垣間はミニ新幹線化してしまってもあまり問題はないのだが,大垣-名古屋は名古屋都市圏の需要が非常に多く単線並列はまず無理だ.標準軌化もやってしまえば,名古屋駅で快速や普通も完全に分断されてしまうことになるので難しい.残りは3線軌条化だが,これも容易ではない.3線軌条は保線コストが増大してしまう.標準軌と狭軌の双方の列車がいずれも多いのならばそれでもいいのだが2時間に1本の「しらさぎ」以外はすべて狭軌で残ることになり,2時間に1本のみに新幹線だけのために3線軌条化するのは保線等でもコストに見合わないといえる.なので,ミニ新幹線化は現実的ではない.

(2)軌間可変電車

これは,敦賀駅に軌間変換設備を設置してレールをつなげばいいだけだから比較的実現の可能性は高い.ただし,軌間可変電車が実用化されればの話である.ところが,軌間可変電車の開発は難航しており実用化はその可能性の有無さえ不透明である.とはいえ,技術開発次第では最も現実的な案となる.

(3)フル規格の北陸中京新幹線

フル規格で基本計画路線の北陸中京新幹線(名古屋駅-敦賀)を建設するというのは,もっとも理想的な方法ではある.しかし,建設されるとしてもかなり先のこととなる.それに名古屋発着の「しらさぎ」は2時間に1本しかなく,1時間に2本ある大阪発着の「サンダーバード」に比べて需要はかなり少ない.しかも「しらさぎ」は「サンダーバード」より編成も短い.関西⇔北陸はフル規格新幹線を整備するだけの十分な需要があるが,名古屋⇔北陸はそれほどの需要はない.しかも,名古屋⇔敦賀の新幹線は建設しても時間短縮効果はそれほど大きくない.敦賀-名古屋を単線の新幹線としてコストを削減して整備するのは考えてもいいだろうが,基本計画の中でも需要や時間短縮効果の面から考えて北陸中京新幹線よりも優先度が高い区間は多い.なので,中長期的にはともかく現時点ではこの案は考えられない.

 

以上のことから,北陸新幹線全通後の名古屋⇔北陸は乗換えが必要なままになってしまう可能性が十分にあり,利便性確保は容易ではない.可能性があるとすれば軌間可変電車の実用化によって, 名古屋⇔福井・金沢・富山の直通運転を確保することくらいである.

2016年11月21日 (月)

北陸新幹線全通による効果は

先日, 北陸新幹線の敦賀以西のルートに関して小浜京都ルートとする方針が固まったようである.このルートで沿線開発効果が最も見込めるのは若狭地区である.もちろん,新幹線開業によって小松や福井,敦賀なども多大なる効果がもたらされるのは言うまでもないが,若狭地区はそれ以上に大きなメリットがあるといえる.小松や福井,敦賀はいまでもかなり多くの在来線特急が運行されており関西方面などへのアクセスはかなり充実しているのに対し,若狭地区はそうではない.言い方は悪いが“陸の孤島化してしまっている面もある.今のままでは,人口がどんどん若狭から京都や大阪,福井に流出してしまう.若狭からでは京都や大阪はもちろん同じ福井県内の福井市方面にでさえ,かなり距離があり通勤通学は容易ではない.新幹線が通ることによって福井市方面への通勤通学も容易になるし,関西方面への通勤も可能になる.新幹線によって福井市や関西にストローされてしまうと考えるのはあまりにも安直過ぎる.むしろ仕事や学業のためにこれまでは福井市や関西に引っ越しせざるを得なかった人が若狭から通えるようになり引っ越しする必要はなくなるのである.ストロー現象を引き起こしているのは新幹線ではなく,むしろ高速道路と航空機である.高速道路はやはり高速鉄道に比べては移動速度が劣る.たとえば高速道路で2時間だとしたら,毎日の通勤は厳しい.しかし,新幹線なら同じ距離は数十分だ.これなら通勤に使える.つまり、大都市への集中の要因のひとつは高速道路はどんどん整備するのに,必要な新幹線の整備は遅れていたことにある.また,航空機は大都市と大都市もしくは大都市と地方を点移動で結んでいるだけであり,地方同士のつながりは期待できない.それに対して,高速鉄道は線であるから大都市と大都市,大都市と地方だけでなく地方と地方の移動にも便利である.また,北陸新幹線が大阪までつながることによって若狭だけでなく福井や金沢からも関西方面への通勤が可能になる.たとえば,福井から大阪は特急「サンダーバード」でも2時間弱かかっており,通勤は不可能と言い切ることまではできないにしても容易でない.それが新幹線によって1時間になれば,完全に通勤圏となる. また,金沢から大阪は特急「サンダーバード」でも2時間半以上かかっており,通勤は難しい.それが新幹線によって1時間20分になれば,こちらも十分に通勤圏となる.つまり,福井や金沢からも大阪などの大都市に仕事のために引っ越す必要がなくなるわけだ.こう考えると,在来線特急では時間がかかりすぎて,通勤は難しく大都市に引っ越さざるを得ず,人口が流出してしまっていたが,新幹線であれば通勤可能な範囲も大きく広がり,結果として人口流出を抑制する効果があるというわけだ.ただ,新幹線は鉄道の中でもかなり輸送力が大きいため,あまりにも沿線人口が少なすぎると成り立たないが,逆にある程度の需要さえある区間であれば,これほど優良な公共事業はほかには見当たらない.

北陸新幹線は小浜京都ルートに

先日, 北陸新幹線の敦賀以西のルートに関して国土交通省の試算が発表され,一部の報道によると小浜京都ルートとする方針が固まったようである.また,京都-新大阪間は来た周りルートとなるようである.当初からこのルートが有力とはいわれていたが,採算の基準もクリアしたことによってこのルートで固まったといえるだろう.

正式に小浜京都ルートで決まれば,来年度からは具体的なルートの確定に向けた地質調査や環境アセスメントが始まるだろう.これには34年かかるといわれている.それが終わったら,なるべくはやい段階で着工しなければならない.国土交通省の資料では2031年着工を想定しているが,これではあまりにも遅すぎる.もっともな話,2031年着工というのは遅れに遅れた最悪の場合の想定であり,実際には2022年ころには着工されると思う.これには理由がある.現在は,北陸新幹線(金沢-敦賀),九州新幹線(武雄温泉―長崎),北海道新幹線(新函館北斗―札幌)3つの区間が工事中であるが,このうち北陸,九州の2区間は2022年に開業予定だから,この2区間の予算を回して,着工が可能となる.逆にそれよりも前に着工するのは環境アセスメントが2021年くらいまでかかりそうだから厳しい.つまり,今は3線区が工事中だからこれが1線区になるタイミングで着工になると思われる.フリーゲージトレインが無理な場合は九州(新鳥栖-武雄温泉)2022年のタイミングで着工されると思われる.また,北陸と九州の残り区間が着工されれば,今の整備新幹線はすべて着工し完全にめどがつくことになる.だから、2022年くらいには基本計画線の中からどこをつぎの整備計画に格上げするかも議論を始めなければならない.基本計画線なんていらないだろと思う方もいらっしゃるだろう.もちろん,基本計画の一部は需要や沿線人口,時間短縮効果などが少なすぎて整備する必要性が低いところも多い.しかし,現在の特急の需要や時間短縮効果,線路の改良余地の大きさなどからして整備すべき区間も多い.詳しくはいつになるかはわからないものの,基本計画線についても後日記事を書こうと思っている.次の整備計画となるであろう路線や区間はいくつかあるがその中でも東九州新幹線の小倉-大分間と四国新幹線の岡山-松山間の2区間は特に優先して整備するべきである.今の整備計画路線がすべて着工されたらそれで十分というわけではないから次の整備計画もしっかりと議論しなければならない.

 さて,話を本題の小浜京都ルートに戻そう.今回は並行在来線がどうなるかを考える.小浜京都ルートとなった場合,経営分離が検討されるとすれば湖西線と小浜線あたりだろう.だが、個人的にはいずれの路線も経営分離されるかどうかは非常に微妙だと思う.

まず,湖西線はこの区間を走る特急が新幹線に移れば,湖西線は普通と快速のみの路線となり,湖西線の収益は悪化するといえる.湖西線が新幹線開業によって最も大きく影響を受ける路線であることは間違いない.だが,分離してしまえば北陸新幹線は滋賀県を通らないのに,並行在来線だけは滋賀県に押し付けるということになってしまい,滋賀県の同意も得られない.逆に,滋賀県の推す米原ルートを選択しなかった見返りとして,湖西線を経営分離しないということもありえる.その上,地理的に新幹線に並行しているとは言い難く,また関西のアーバンネットワークの範囲であり普通や快速だけでもそれなりの旅客数と収益は見込めるとも考えられる.なので,湖西線が経営分離されるかは微妙だと思う.

次に小浜線である.小浜線は敦賀駅と新幹線駅が設置される想定の東小浜駅の間で地理的には新幹線と並行しているといえる.しかし,特急が走っていないため並行在来線にはならないと指摘する声も福井県から上がっている.なので,経営分離に対する同意が福井県から得られないかもしれない.実際,特急が走っていないので新幹線開業によって収益が悪化するとも考えにくい.小浜線の経営分離は,“新幹線開業によって収益が悪化する在来線を分離してもよいということからは本質的にはずれているともいえる.なので,小浜線も経営分離されるかは微妙だと思う.

九州新幹線長崎ルートについて,武雄温泉―諫早の着工の際,JR九州は長崎本線の肥前鹿島-諫早を経営分離する方針だった.この区間は,新幹線開業によって特急が廃止され収益が悪化すると見られる区間であるが,地理的に並行しているとは言い難い.逆に、地理的に並行しているといえる佐世保線・大村線の武雄温泉-早岐-諫早は分離の対象にはならなかった.実際,新幹線によって収益が悪化する区間ではない.こういったことを考えると今回のケースでは湖西線のほうがやばいのではないかとも思う.長崎ルートの場合,肥前鹿島-諫早で一部の自治体から経営分離への同意が得られず,JR九州は経営分離は断念し,上下分離方式で維持することとなった.

その一方で,北海道新幹線開業で経営分離される予定の区間のうち長万部-小樽は地理的に並行しているだけで,特急は走っていないが経営分離される予定だ.逆に室蘭本線は,ある程度の規模の都市が並んでいて収益性の高いところを残そうということだろう.こう考えると小浜線のほうがやばいのではないかと思うが長万部-小樽は小浜線よりも需要はずっと少なく維持コストもかなりかかるから単純に比較はできない.そもそも長万部-小樽は廃止されるのではないかとも言われ続けており,JR北海道としてもいつでも切り離したいくらいだろう.

こう考えると,小浜線や湖西線を経営分離するとなればかなりもめそうである.そして,条件としてもいずれも微妙である.利用者の立場から考えれば, たとえ一部区間が上下分離になったとしてもJR西日本のまま維持されるほうがいい.いずれの路線も,正真正銘の並行在来線とまでは言えず,湖西線は収益が悪化したとしてもある程度の収益も見込めるし,小浜線は大きく収益が悪化するということはなさそうだから,何とか湖西線も小浜線もJRのまま維持してもらいたいと思う.

2016年11月15日 (火)

北陸新幹線のルートをどう考えるか

 

先日, 北陸新幹線の敦賀以西のルートに関して国土交通省の試算が発表された.

ざっくりとまとめると以下の表のような結果であった.

1


この結果からすれば, 小浜京都ルートの京都-新大阪間北回りと米原ルートのみ採算基準を超えるということなので,このうちのどちらかのルートで整備されることになるだろう.逆に残りの3つは採算割れということなので採用されることはないだろう.そして,最終的には小浜京都ルートの京都-新大阪間北回りが選ばれる可能性が極めて高いと思われる.

◎ ○ △ ×で評価すると個人的には次のように評価している.(あくまでも,個人的な評価)

2


 

(1) 米原ルート

 

このルートは建設距離が短く,安上がりで費用対効果も高く,地理的にもルート的にも無駄に遠回りをしているわけではない.また,名古屋方面へのアクセスも考慮されているルートだ.単純に考えれば「これで決まり」と思われるだろう.しかし,実際にはそれ以外のメリットはなく,その他の点では,デメリットがかなり多いといえる.まずは,何を隠そう,京都や新大阪まで直通できないということだ.東海道新幹線のダイヤに余裕がなく,中央新幹線が開業したとしても本数は多少減るかもしれないが大きく減ることなさそうで,余裕は少ない.乗り入れ前提に考えたとしても,乗り入れできなかったら悲惨である.仮に乗り入れできたとしても,さまざまな問題がある.まずは,現在の「サンダーバード」は全てJR西日本の収益だが,これが新大阪-米原の区間でJR東海に流出することになり,JR西日本としては大きな減収になってしまう.これでは建設に対する同意をJR西日本から得られないだろう.次に2社にまたがるため,運賃が高くなってしまうだろう.在来線特急から新幹線に変わることそのものによって多少の値上がりはやむをえないが,2社にまたがれば必要以上に値上がりしてしまう.また,所要時間も長くなるので時間短縮効果が小さい.これでは乗客にとってメリットはない.また,名古屋方面への乗り入れは,米原に三角線を建設するか,米原でスイッチバックとなり新大阪乗り入れ以上にハードルは高い.もちろん,名古屋方面への利便性も重要なのだが北陸名古屋よりも北陸関西のほうが需要は圧倒的に多いので大阪方面への利便性が優先されるのは当然だろう.実際,「しらさぎ」は116往復だがこのうち8往復は米原止まりで関東米原福井という乗客が主体と思われ,北陸新幹線が敦賀までできた時点で関東福井も金沢経由にシフトしてしまい不要になってしまうだろう.そうすると「しらさぎ」名古屋発着の8往復しか残らずこれでは2時間に1本の運転になり,1時間に2本ある「サンダーバード」よりもずっと少ない.その上,「サンダーバード」のほうが「しらさぎ」より長い編成で運行されている.これでは名古屋北陸の新幹線を考える必要性は高くないといえる.以上のことから米原ルートでは「安物買いの銭失い」になってしまうのである.

 

(2) 小浜京都ルート

 

このルートは現在の特急「サンダーバード」のルートに比較的近いルートといえる.かつての案「小浜ルート」と「湖西ルート」のいいとこ取りという感じだろうか.かつての「小浜ルート」では京都駅を経由せず不便であり,「湖西ルート」では東海道新幹線への乗り入れや,整備計画にある小浜市付近を通らないことがそれぞれ問題だったが,それを解決したルートといえる.また,無駄な遠回りにもなっておらず,ルート的な合理性も高く,JR西日本単独路線となるため,運賃がかさむこともなく,JR西日本の収益がJR東海に流出することもなく,ダイヤ編成の自由度も高い.建設費は約2兆円と高額だがそれでも北回りであれば採算も取れるわけだから,これが妥当である.南回りは距離が伸び,所要時間,建設費ともにかさんでしまい,採算性もアウトである.また,学研都市を経由させる南回りでは遠回りになりルート的な合理性も低下してしまうとも言える.以上のことから、小浜京都ルートは京都-新大阪を北回りにすればとても妥当性が高いといえる.

 

(3) 舞鶴ルート

 

このルートはかなり遠回りであり合理性も低く,所要時間が伸び,建設費や運賃も高くなってしまう.また京都-新大阪を南回り,北回りいずれにしても採算性は厳しい.このルートは,京都府縦貫新幹線という感じであり北陸新幹線というところからも逸脱してしまっていると思う.実際,このルートは京都府以外からは評判がとても悪いようである.また,山陰新幹線と共用できるという考えもあるようだが,山陰新幹線は基本計画では大阪-鳥取-松江-下関であり素直に考えると新大阪から福知山線沿線を北上して山陰方面に向かうことになり,大阪-京都-山陰では遠回りである.なので,北陸新幹線と山陰新幹線を共有できるというよりは北陸新幹線としても山陰新幹線としても合理性が低いルートということになってしまう.

 

 

 

以上のことから,小浜京都ルートの京都-新大阪間北回りがもっとも妥当なルートといえるだろう.もちろん,ルートの工夫によって,建設費がかさむ大深度地下区間を1cmでも短くして建設費を少しでも抑えるよう努力するのが望ましい. また,京都市内や大阪市内の大深度地下区間においても駅周辺は少しは浅めのところを通して利便性を高めるべきである.